古くから歯科治療の代表的な切削具として存在するエアータービンは高速でよく削れるが、使用感覚的には削れすぎたり、ぶれたりして、無圧状態で速く回転するため、時にはタービンが浮き上がるような状態になることもあり、繊細な作業に向かない場合が稀にある。
一方、5倍速コントラは術者の手元でトルクを感じ、慣れないうちは若干、使用しづらい面もあるが、徐々に作業しやすくなり、むしろ手先の動きをコントロールが容易く繊細な仕上げが可能となる。いずれが、日常臨床に向いてるかは一概に言えず、難しいところだが、私は金属冠などを除去して、歯を削り直す時などは、最初にハイスピードのタービンで金属冠や金属などの硬い詰め物やインレーなどを除去。次に歯を削る段階になっても、まず早く大まかに削り、次に、より精密に形を整える時は5倍速で行う方法を採っている。この2種の切削器具を使い分けることによって、作業がより効率的に繊細に進む。
また、エアータービンの特有の高い金属音を聞くだけで恐怖を覚える方も数多く、当医院では、恐怖心を取り除く必要がある患者さんへは、リラックスした状態で歯科治療を受けて頂くために、エアータービンではなく、できるだけこの五倍速コントラを用るようにしている。患者さんも楽だと仰る事が多い。
更に、水流の勢いが異なるのか術中の視野も得られやすい。はっきりとした視野が確保されるので、術者にとっても楽だと感じる。